ＳＥＸＹ　２　〜ａｃｔ．２〜


　結局、金曜の夜から緋咲のマンションに転がり込んで結局、日曜日の夜まで緋咲と過ごした拓は、まだ少し眠たい目を擦り擦り、教室へと向かった。
　「おはよー」
　教室の中に一歩入った途端に、その場の雰囲気に背筋が凍りつく。
　「ど・・・どうしたの？」
　シーンとした教室の中は、まるでお通夜のようなのだ。
　一体何が・・・？と問いかけようとした拓は、教室の隅で手招きしているカズの姿を見つけて、ホッとそちらに近付いた。
　『なんかァ・・・マー坊くんがよォ、"金曜集会"の後からヘンでヨ・・・・』
　ボソボソと耳打ちするように教えてくれるカズに、拓は冷や汗を流す。
　まさか、自分が誘いを断ったからではないと思うのだが・・・言い切れない所が困ってしまう。
　『かち合ったチームもなくて、"集会"は平和に終わった筈なんだけどナ・・・』
　首を傾げつつ悩んでいる皆の顔は、普段余り真里の静かな所を見ていないだけに、恐怖に怯えているようだった。
　何しろ、マジになった真里を止められる者は、この教室の中では、チームの特攻隊長さんである秋生ぐらいしかいないのだ。
　どう逆立ちしても、相手にならない連中は、おとなしく様子を探るぐらいしか対抗策がないのである。
　『何しろ、アッちゃんでさえ、原因が理解らねぇって言うし・・・お手上げってやつよ・・・・』
　フウッとため息を付きながら、視線を真里に流したカズは、次の瞬間硬直した。
　「カズくん？―――どう・・・ゥワッッ！！（Ｔ△Ｔ；）」
　その態度の変化に不思議そうに振り返ろうとした拓は、急にポンと肩を掴まれて、びっくりした。
　「―――拓ちゃん？」
　恐る恐る振り返った拓は、教室内の空気を凍結させていた真里が、真後ろに立っていた事に気付いて、心臓を止めかけてしまっている。
　「・・・ちょっと、良いかな？」
　いつもの明るい調子とは全く違う真里の様子に、拓はザッと青ざめるが、流石に嫌と言える勇気はない。
　逃げられないようにギュッと掴まれた腕の痛みが、更に拓に恐怖を伝えるが、それでも真里の促すままに後を着いていく事しかできなくて・・・。
　勿論、そんな真里を止められるような命知らずが、この教室に居る筈もない。
　いつもは何だかんだ言って、面倒を見てくれる秋生でさえ、真里の好きなようにさせる事を選んだようだった。
　心配そうにしているカズに向かって、拓はちょっと困ったように微笑った。
　そうして、教室を出た真里は、そのまま拓を連れて屋上へと向かう。
　二人が屋上に辿り着いた時には、強い風が吹いていた。
　手を掴んだまま前を歩く真里の金髪が舞い上がって、太陽の光を反射している。
　キラキラしているそれを見ながら、拓は陽光に透けるような緋咲の紫の髪を思い出した。
　そうして、ちょっとだけ赤くなってから、今はそんな場合じゃなかったと、気を引き締めた。
　何しろ、真里の機嫌の悪い原因が全く理解らないのだ。
　拓が集会に参加しなかっただけで、こんな風になるくらいなら、一ヵ月に一度はこんな状態になっても可笑しくない筈だから。
　確かに、クラスメートが幹部だし、拓自身も一緒につるむ事が多いので何となく周りの連中からも、拓は『爆音小僧』のメンバーだと思われているようだが、正式にはチームに所属してはいなかった。
　『外道』の秀人が"親友"だし、元『獏羅天』であり、"風神"という異名を持つヒロシは幼なじみで、その相棒の"雷神"のキヨシも友達なのだ。
　更に、『麓沙亜鵺』の緋咲と付き合っていて、その緋咲の"親友"で＜龍神＞と呼ばれている天羽にもどうやら気に入られてしまっているのに、今更、特定の所属チームに入れる筈もなかった。
　だから、『爆音小僧』の集会に参加している最中に、それらの者たちと鉢合わせするのがとっても怖いのだ。
　拓にとっては、皆大切な"友達"で・・・失えない者たちだから・・・。
　だから、できる事なら皆で仲良くしてほしいのに。
　どう足掻いても、それは無理な事でしかない。
　それでも、あれだけ憎しみ合って、傷つけ合った緋咲でさえ、理解り会えたのだから・・・と拓は"願"うのだ。
　いつの間にか腕が離されていても、拓はそのままの状態で真里が何か言うのを待っていた。
　フェンス越しに、遠くを見ていた真里の表情が何か決心したかのように変化した。
　そうして、クルリと振り向いた真里は真っ直ぐに拓を見つめた。
　「――拓ちゃん・・・緋咲と知り合い？」
　「―――！！―――」
　余りにも思いがけなかった台詞に、一瞬、拓は絶句してしまった。
　心臓が口から飛び出してしまいそうな程驚き、狼狽がそのまま顔に出てしまう。
　そんな拓の表情を見ながら、真里は落胆の息を吐いた。
　「・・・やっぱ・・・そっか・・・」
　ボソリと呟かれた言葉が、死刑の宣告のようで、拓は自分の足元が崩れていくような気がした。
　「・・・まっ・・・マー坊く・・・・」
　動揺の言葉は、震えて満足な音にならない。
　まさか、ここに来てバレてしまうとは、どうして考えられるだろう？
　そうして、浮かぶのは、金曜の夜である。
　珍しく緋咲が拓を横浜にまで迎えに来て・・・そのまま緋咲の単車でタンデムした時のあの言い知れない不安は、この事を暗示していたのではないか・・・と。
　「オレも最初は自分の目ェ疑ったっけ・・・だけど、オレが拓ちゃんを見間違う事は、絶対ねーヨ？！だから・・・ちょっと、ショックかな・・・？」
　物悲しそうな表情で告げる真里に、拓はズキンと心が痛んだ。
　拓が緋咲と付き合っている事は、本当の事なのだ。
　バレたら、後が大変だと思って黙っていたのだが、皆を騙している事には違いないから・・・。
　「・・・ゴメ・・・ボク・・・」
　隠し事は、いつかはバレるものなのだ。
　その時の対処をしなくて、そういう秘密を持った自分が悪いと拓は思った。
　友達だと思っていた者に隠し事をされていたら、誰だって気分の良いものではない。
　それが理解って、拓は改めて申し訳なくなった。
　それでも、拓と緋咲の関係は、そう公に皆に言えるものでもないのだ。
　何しろ、男同志の恋愛なのだから。
　世間一般常識では考えられない事だし・・・間違った事だと拓も知っている。
　なのに、その禁を犯しても側に居たいと思ってしまうのだから・・・"想い"というのは、本当に厄介なものなのだ。
　「・・皆・・・喧嘩してたし・・・その・・・ボクも前の学校の友達の事で、喧嘩してて・・・だけど・・・時貞くんと・・・"親友"だって・・・だから・・・」
　しどろもどろ伝える拓は、絶対に伝えられない"秘密の恋"を気付かれないように、真里に説明する。
　こんな時に上手い言葉が見つからない自分の表現力のなさに、泣きが入る。
　「"天羽"のダチ？！何それ？！・・・マジ？」
　初めて知る事実に、真里は目を丸くする。
　「――うん・・・前に時貞くんが横須賀のジュニアハイにいた時に、クラスメートだったって・・・」
　「ふーーーん・・・。」
　ふと、何かを考え込むような素振りをした後で、真里は考えを振り切るように頭を振った。
　「―――まぁ、別にそれは置いといて・・・"天羽"のダチだから、一緒に居たの？喧嘩してたのに？まさか、無理やり連れてかれたとかじゃ・・・」
　「そっ・・・そういう訳じゃ・・・・」
　余り詳しく説明できないので、拓は言葉を濁す。
　それをどうとったのか、真里は突然に怖い顔つきとなってしまう。
　「拓ちゃん優しーから、迷惑してんのに、付きまとわれてんじャねーの？！」
　そうして、『昔は全くその通りでした。』という事を、真里は口にしたので、拓は困った顔で微笑うしかない。
　「分かったよ・・・拓ちゃん、オレに任せといてよ♪」
　いきなり、したり顔で告げる真里に、拓は一瞬キョトンとしてしまうが、ウンウンと頷く真里には何を言っても無駄だと理解っているので、拓はその時の真里の考えを追求できなかった。
　緋咲との事を余り詳しく説明したくないので、拓は、分かったと言った真里の言葉を、そのまま鵜呑みにしてしまったのだ。
　その事が、後々に厄介事を引き起こす原因となってしまうのだが、この時の拓にはまだそれは未知の出来事でしかなかった。


　―――すれ違った考えを、自分に都合の良いように取るのは、追い詰められた人間なら仕方のない事かもしれない・・・。



　横須賀駅前ロータリー。
　そこは、横須賀最大の暴走族『麓沙亜鵺』のメンバーの普段の溜まり場だった。
　集会の時じゃなければ、滅多に現れる事のない緋咲の代わりに、親衛隊クラスの土屋や相賀が他のメンバーを纏めていた。
　次のパレードの日程や、走るルートをどう緋咲の気に入るようにするかを考えながら、煙草を吹かしていた土屋は、珍しくその溜まり場に相賀の姿が見えない事に気付いて眉を潜めた。
　自称"緋咲のおっかけ"と、常日頃から口にしている相賀は、思い込んだら命掛けという程一途であった。
　緋咲の強さに憧れて、出会った翌日には髪を切って金髪にしてしまった相賀は、幼馴染みの土屋が止める間もなく、あっと言う間に『麓沙亜鵺』に入隊していたのだ。
　思い込みとは、かくも人を変えるものだと、感動さえ覚えた土屋も、余りにも無鉄砲な相賀を放っておける程薄情ではなかった。
　何しろ、緋咲の為とか、チームの為とかなら、それこそ身体をボロボロにしてまで戦ってしまう有り様なのだ。
　なのに、痛み以上に嬉しそうな相賀の様子に、土屋は自分の目で緋咲を確かめようとして、その圧倒されそうな程の存在感に脱帽したのだった。
　そうして、相賀と共に緋咲の側に着くようになって、早半年・・・。
　今まで、自分等よりも遙彼方に"存在"しているような感じだった緋咲が、やはり同じ"人間"だったのだと、気付いたのは・・・ある人物の所為だった。
　横浜のチビ・・・。
　浅川拓というその者は、今まで誰も見た事のないような緋咲の表情を、たやすく引き出してしまったのだ。
　あんな風に自分から行動する緋咲は、はっきり言って初めてだと言っても過言ではなかっただろう。
　それ程、あっと言う間に、緋咲の心を引きつけた不思議な"存在"。
　あれだけ緋咲に対して片思いを続けていた相賀だからこそ、誰よりも早く緋咲が拓に惹かれている事に気付いたのかもしれないが・・・。
　そこまで考えた時に、土屋の耳にバイクのエンジン音が響いた。
　何処かへほっつき歩いていた相賀が戻ってきたのかと、回想から意識を戻した土屋は、良く聞いたそれが、相賀のバイク音ではない事に気付いた。
　訝しげに目を細めた次の瞬間、そのバイクに乗っている者が自分達とは違う色の特攻服を着ている事を確認した。
　「―――赤・・・色？」
　横須賀には、いない筈の"チームカラー"。
　その事に土屋が思い立った時には、そのバイクは風のような速さで目の前にピタリと止まった。
　「やっぱり、ここにも、居たか・・・"紫"・・・」
　ニコッと笑う表情は、とても特攻服を纏う者のものとは思えない程明るかった。
　小柄な身体を覆う"戦闘服"のカラーは、血の色を思わせる"朱"。
　「何だ・・・てめえ？！」
　相手が誰だか理解らないメンバーの一人が自分等のテリトリーを汚されたと思って襲いかかる。
それは、相手の容姿を見て勝てると思ったからの行動だったのだろうが・・・結果は意外なものだった。
　襲いかかった者も、どうして自分がやられてしまったのか、その瞬間を覚えてはいなかっただろう。
　バイクに乗ったまま、電光石火の如く繰り出された左腕が、襲いかかってきた一回り以上大きな体躯の者を、強烈な破壊力を持って殴り飛ばしたのだ。
　ざわめきと同時に、相手に対する認識を改めた連中が、緊張と共に臨戦態勢に入った。
「―――待て。」
　一触即発の状態を引き止めたのは、相手が誰なのかを理解った土屋だった。
　前回も同じように現れた相手と、同じ色の特攻服を着たもう一人の者と・・・そうして、後から乱入してきた二人組によって、その場に居た『麓沙亜鵺』のメンバーはボロボロにされた記憶が蘇って顔を歪める。
　それ位強い相手だからこそ、対等に張り合えるとしたら自分等の"頭"である緋咲しかいないのだ。
　相手も横浜で名のあるチームの"頭"なのだから・・。
　「また"緋咲"さんを探してんのかよ？」
　気を落ちつかせる為に、土屋は煙草の煙を吐きながら慎重に問いかける。
　「―――そう。知ってたら、教えてくんないかナ？」
　緋咲の名を出した途端に、豹変した表情はゾクリと全身が総毛立つ程の凄味だ。
　その身体を纏う闘気も、周りの人間を圧倒する程の威力があった。
　土屋はどう返事をしようかと一瞬考えこんだが、どんな画策をしても目の前の者に通用するとは思えなくて。
　「『爆音』の鮎川が、"ナン"の用だ？」
　だから、尋ねて見た―――突然の訪問の訳を。
　「ちょっと忠告しときたい事があってサ。とーっても、大事な事だから・・・」
　ニッと笑う顔は、先程の笑顔とは全く違うものだ。
　怒りを押さえ込むかのようなその表情に、土屋は冷や汗を止められなかった。
　「―――ナニしてやがる？」
　不意に、張り詰めた空気が動いて、人垣が割れた。
　同時にその場に話題の人物が登場した途端に、空気中の酸素が一気に減ったような気がした。
　「緋咲サン？！」
　突然の緋咲の出現に、土屋は煙草を吐き出してしまう程驚いた。
　今の時間に緋咲がこんな場所に現れるとは、全く想像していなかった為に・・・。
　「よーやく、会えたナ・・・」
　獲物を見つけた喜びの表情で、赤い特攻服の者−真里−は、緋咲を視界に捕らえた。
　「―――鮎川？」
　思いがけなかった者を見てしまった緋咲は、唖然としてしまう。
　久しぶりにドフ板通りから歩いて町中をブラブラしていた時に、自分のチームの者が駅前のロータリーで何かを囲むようにしていたのが気になって声を掛けただけだったのだが・・・。
　嫌な奴を見てしまったと、緋咲は心の中で舌打ちした。
　「ナニしに来やがった？」
　「オマエに会いに・・・。散々探したヨ・・・。」
　「そりゃ、ご苦労な事だ・・・。」
　まるで友達に話しかけるような口調だが、張り詰めた雰囲気は、いつ"戦争"が始まっても可笑しくない程に緊迫していた。
　「それで・・・タイマンでもする気かよ？」　
　冷めた表情で真里を一瞥した緋咲は、口端を持ち上げて煙草をくわえた。
　「拓ちゃん事の事で、話がある。」
　だが、きっぱりと告げられたその名前に、緋咲は酷く動揺してしまった。
　口にくわえようとした煙草を、つい落としてしまう程。
　一瞬、酷く気を削がれてしまった後で、ハッと気付いた緋咲は、手を上げて周りの連中に消えるように指示する。
　緋咲と拓の関係を知っている者たちは、一瞬困ったような表情を浮かべてから、知らない者を促すようにしてその場から離れようとした。
　「あっ・・・そうそう・・・ここに来る前に捕まえた"紫"の服の奴・・・あっちで４・５人転がってるから・・・後、宜しくネ♪」
　バイバイと手を降りながらにっこり笑顔で、告げる真里に、土屋はギクリと足を止めた。
　嫌な予感が脳裏を横切り、無鉄砲な幼馴染みの顔が、思い浮かんでくる。
　「まさか・・・？」
　「・・オレさぁ・・・ちょっと緋咲の場所聴こうと思っただけなのに・・・いきなり、殴り掛かってくるから・・・後で、ゴメンって言っといて！！」
　ケラケラと告げる真里に、ますます目眩が起きそうな土屋だった。
　前にあれだけやられておきながら、また突っかかっていくとしたら、相賀ぐらいだろう・
　緋咲の機嫌が最悪だろう事を、気にしながら、相賀を助けに行く為に、土屋はその場から走りだした。



　「それで・・・？」
　チームのメンバーがその場から消えてしまってから、ゆっくりと緋咲は話を切り出した。
　「そうそう、拓ちゃんの事。」
　ニコニコと笑って告げる真里の真意が理解らないだけに、緋咲は黙って待つしかない。
　「近づかないでくれない？」
　「なっ！」
　スパッと切り裂くような口調で告げられた言葉に、緋咲は表情を変えた。
　「・・・拓ちゃん優しーから・・・だから、変な奴等に好かれちゃって・・・オレ、すっげー嫌だから。オレの大事な拓ちゃんに、近づくナ。」
　「何でお前が、そんな事をわざわざ言うんだ？」
　続けて言い募る真里に向かって、緋咲は底冷えするような口調で問いかける。
　拓が、変な奴等に好かれて迷惑しているのは、実は緋咲の方なのだ。
　何しろ、二人の"想い"は通じ合っているのだから、いきなり第三者にそんな事を言われる筋合いは、全くないだろう。
　「―――拓ちゃんは、『爆音小僧』の仲間で、オレのバックシートに座って貰うんだから、横須賀の奴は、横須賀で遊んでれば？・・・そういやオマエ、天羽のマブダチだって聞いたけど・・・あいつにも、拓ちゃんに近づくなって伝えといてヨ。・・・じゃあナ。」
　「あっ・・・おいっ？！」
　言いたい事だけ告げると、真里は、アクセル一発で愛車を発射させた。
　―――赤いタンクの"フォア"。
　横浜で最速を誇るマシンなだけに、その走りは風を彷彿させる。
　あっと言う間に見えなくなっていく赤い特攻服を睨みながら、緋咲はやり切れない怒りを堪えて拳を握り締めた。
　フザケンナ・・・バカヤロウ・・・。
　思いつく限りの悪句雑言を叫んで遣りたかったが、地元ではそうもいかないだろう。
　更に、相手はいつも拓の側に居る奴なのだ。
　緋咲の目の届かない場所で、拓に対して何をしているのか理解らないだけに、苛立ちも酷くなる。
　緋咲が下手に係われば、それは横浜に住んでいる拓の立場を危うくしてしまう事になるのだ。
　側に居てほしい"存在"なのに・・・それを望む事が間違っているのだろうか？
　だが今更、誰に何を言われようとも、緋咲が拓を手放す事はない。
　それだけは、確実な"真実"。
　今後の事を、拓と話さなければならないと思いながら・・・緋咲もまた、やれやれと言う風にその場を後にして歩きだした。

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