君が逝ってしまってから、季節が過ぎた。

突き刺さるような冷たい風から、柔らかな暖かい風へ変わる。

凍りついた景色が、彩られていく。

でも、僕の中の時間は止まったままで。

君を失った事を知った瞬間から、世界は色を失っている。

余りにも強烈な存在だった君に、魅せられてしまったから・・・。

―――君は僕の心まで、奪って逝ってしまったから。

胸の中が空っぽで、僕の上辺だけを時間が通り過ぎていく。

君が居なくても、時は動いていく。

君が居なくても、世界は変わらなくて。

君が居なくても・・・何処にもいなくても。

―――止まってしまったのは、僕の中の時間だけ。

どうすれば良いのか理解らない。

見慣れた景色の中、君が彷徨っていたように街中を探すけれど。


何処にも君の姿がない。

「・・・寒い。」

あんなに傍に居たのに、君はもう居ない。

この世界の何処にもいない。

あの時、温もりを求めていた君は、こんな気持ちだったのだろうか？

こんなに心細くて、辛くて・・・哀しくて・・・。

ピンク色の花びらが視界を掠める。

できる事なら、散り行く花の様に・・・風に吹かれて君の元へ行きたい。

それが、叶えられない儚い夢だと理解っていても。