―――それは、特別な“呪文”。

好き・・・という言葉。

人を想う気持ち。

誰かの一番になれたら・・・それは、とても幸せな事。

「世界で一番、君が好き・・・。」

さらりと、笑顔で告げられた言葉に、目を丸くする。

そんな大層な事を、簡単に言って貰えるなんて、嬉しい以上に落ち着かない。

ゆっくりと近付いた端正な顔が、唇を奪っていって初めてその意味に気付いた。

「・・・あ・・・あの・・？え？」

余りの驚愕に呆然としていた僕に、君は本当に可笑しそうな笑みを浮かべた。

いつもの何か悪戯っぽい笑みではなく・・・心からの微笑。

それが、余りにも綺麗だったから、僕は怒ることも泣く事も出来なくて―――。

ただただその笑顔に魅入られて、止まった時。

「好きだよ・・・拓ちゃん・・・」

柔らかな声が、耳朶に響く。

抱き寄せられて、告げられた言葉は、すんなりと心に染みていく。

そうして、気付いた自分の気持ち。

ああ・・・。

そうだね。

きっと、僕も君を・・・。