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(このＳＳはキリリク90000hitのかなめ様に捧げます。リクエストは『アービィ＆ルーファス（擬人化）が拓ちゃんにいたずら★ご主人様（天羽）にバレてさぁ大変！』---でしたｗｗｗ最初は二人で拓ちゃんにいたずらする予定だったのですが、甘えん坊なルーファスがいたずらする妄想は浮かんでも、どちらかというとツンデレタイプで実直なアービィが悪戯程度で我慢できるのかという疑問を持ってしまいまして・・・（＞Д＜；）しかも二人掛かりだと確実に拓ちゃんが喰われてしまいそうだったので、今回は甘い『銀の王子』さまだけにいたずらして頂きました♪ついでに、『金の騎士』さまには、“発情期”がどれだけ危険なのかを証明して貰いました（苦笑）こんなんで、如何でしょうか？擬人化に関しては先にこちらを読んで頂けるとありがたいです）
悪戯好きな甘い王子様
天羽家には現在、３人の執事がいる。
正確には、その内の二人は執事見習いという形になっている。
その原因の一端を担ってしまった拓は、すっかり通いなれた豪邸の玄関先で出迎えた者の姿を見て絶句した。
「ようこそ。いらっしゃい、ました。たく、さま。」
静かに澄んだ湖のような深翠の瞳が、拓の姿を捉えて柔らかく細められる。
ぎこちない口調は日本語に慣れていないと言うよりは、発声自体がまだ上手く出来ない証。
癖の強い銀の長髪は、今日はきっちりと背中で紐で一つに括られている。
西洋人形のような白磁の肌と、甘い貌。
白を基調にしたスーツを着こなしているその姿は、ファッション雑誌から抜け出てきたモデルのように様になっていた。
「・・・・・・・」
「たく、さま？」
無言のまま、自分を凝視している拓に、柔らかな微笑が消える。
心配そうな表情へと変化した相手に、漸く拓は我に返った。
「あ・・・あの、こ、こんにちは。・・・えっと、ルーファス？」
「はい。」
慌てて頭を下げて拓が挨拶を返すと、途端に、ルーファスは本当に嬉しそうに破顔した。
未だにこの人間離れした超絶美貌の持ち主に慣れていない拓は、そーっと視線を逸らせた。
あんまり間近で見ていると、目がチカチカしてくるからだ。
「たく、さま？」
「えーっと、今日はアービィは？」
キョトンとする銀髪の青年に、拓は目線を逸らしたまま、もう片割れの名を尋ねる。
途端に、柔らかな微笑が陰りを帯びて、真緑の瞳が潤む。
その表情の変化に拓はギクリッと身を竦ませた。
「ぅ・・・さくら、のほうが、よいの、です、かぁ？」
「え？そ・・・そう言う訳じゃなくて！だから・・・姿が見えないから・・・どうしたのかなぁって・・・」
胸が痛くなるような悲壮な表情のまま、スッと差し出された腕が、軽々と拓を包み込んだ。
途端に、拓の身体が無意識に逃げの体勢に入る。
尤も、上手く逃げ出せたとしても一瞬で捉まってしまうのだから、逃げようと思うだけ無駄だったりするのだが・・・。
あの衝撃的な夜から一週間。
すっかり懐かれてしまった感が拭えない。
元々、嫌われてはいなかったが・・・否、むしろ好かれていた―――とは思う。
じゃれ付いてくる彼等を可愛がり、その柔らかくて綺麗な毛並みに顔を埋めさせて貰った事もあった。
だが、それも今の彼らが相手ではない。
正式名称、天羽・アービィ・サクラと天羽・ルーファス・フブキは、一週間前までは時貞が“兄弟”と呼んでいた二頭のボルゾイ犬の筈だった。
確かに以前から、そんじょそこらで飼われているペットとは毛色が違って見えたのは間違いないし、その仕草や行動も違和感があったのは事実なのだが。
だが、それが“呪い”が掛けられた所為で犬になっていたなんて話は、余りにも荒唐無稽過ぎるだろう。
しかも、その呪いを解いたのが、御伽噺に出てくる王子様やお姫様や騎士や魔法使いではなくて、極々普通の人間である拓だなんて・・・笑い話にしかならないではないか。
＜は・・・ははは・・・＞
乾いた笑いを顔面に張り付かせながら、拓は遠くを見詰めた。
自分を包み込む銀色の天使かと見違えそうなルーファスからは、柔らかな花の匂いが香っている。
思わずうっとりしそうになってから、拓はブンブンと首を横に振って意識を取り戻した。
いつもなら、ここぞとばかりに飛び込んできそうな、アービィの姿がこの状態でも見えないので本気で心配になってくる。
「あの、さくらは、いまは、だめ・・・です。」
「・・・駄目？」
ゆっくりとたどたどしい言葉でルーファスが告げる。
その意味がよく理解らなくて、拓は首を傾げた。
まだ言葉が上手く話せない彼等は、思っている事の全部を説明する事ができないらしく、今も少し眉を潜めてルーファスは困ったように小さく微笑った。
「ごしゅじん、さま、おでかけ。じぃ、も、いっしょ。だから、たく、さま。ふぶきと、あそんで。」
「・・・うん。」
ふんわりと浮かんだ微笑の余りの神々しさに、拓は声も無く撃沈した。
こんな無垢な笑顔を向けられて、嫌だと言える人間がいる訳が無い。
拓も勿論嫌などと言える筈も無くて、柔らかな笑顔で差し出された手を拓は握り返した。
その瞬間浮かんだルーファスの蕩けそうな笑みが、拓の意識を捉えて、拓は獲りこまれてしまったかのようにフラフラとルーファスの後を付いて行った。
ルーファスが拓を連れてきたのは、庭の一角にある温室だった。
春の陽光が降り注ぐ温室内は、今がまだ３月の半ば過ぎとは思えないほど少し蒸し暑かった。
「ここ、すわって。」
言われたままに、拓は温室内に配置されていたベンチに腰掛けた。
何をして遊ぶのか全く理解らない拓は、ただルーファスの行動を見ている事しかできない。
「あつい。これ、ぬぐ。」
ちょっと眉根を寄せたルーファスが、上着とベストを縫いで、カッターシャツ一枚なると、リボンタイや髪を結んでいた紐も外してしまう。
ブンブンと子供の様に頭を振ると、解放された銀色の髪がフワリと空を舞った。
その瞬間、髪を透かして見えた煌きに拓は魅了された。
きっちりと着こなされていた服から、ラフな格好へと戻るとルーファスの色気は半端なかった。
思わずボウッと見惚れていた拓は、隣にルーファスが座りこんで、柔らかく自分の頬を撫でた感触で漸く我に返った。
「え？・・・あ、あの・・・ルーファス？ここで遊ぶって・・・どうやって？」
なんだかもやもやした感覚に包み込まれそうだったので、拓は慌ててルーファスに尋ね返した。
その拓の問い掛けに、ルーファスは少しだけ悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「ふふ・・・。ひとの、からだの、おべんきょ。わたしに、おしえて。」
そう告げるルーファスの瞳が、キラリと緑の光りを放つ。
その光りを見た瞬間に、拓の視界から世界が遮断された。
くらりと意識が霞み、全身から力が抜けていくかのように四肢に力が入らない。
グラリと倒れた拓の身体を、ルーファスは優しく抱きとめた。
「やさしくて、あまくて、すてきな・・・たく、さま。よい、におい。」
その耳朶に唇を寄せて、ルーファスはうっとりと微笑する。
拓の全身から溢れ出るような気は、香りに敏感なルーファスにとっては馨しく芳醇な甘露のような匂いであり、許されるのならずっと嗅いでいたい位なのだ。
そっと頬にキスすると、柔らかな感触がした。
艶やかな黒羽の様な髪を撫でると、ふわっとしていながら柔らかくて癖の少ない髪が指先をすり抜けた。
「かみの、け。ひたい。まぶた。きれいな、ひとみ。やわら、かい、ほお。」
ゆっくりと一つ一つ確かめるように、ルーファスは長くて細い指先で言葉にした箇所を辿っていく。
いつも黒曜石のように輝く拓の瞳が、少し曇っているのは、霞み目の所為かもしれない。
それでも大きく零れ落ちそうな瞳を見開いたまま、拓はルーファスの指先が触れる度にピクピクと小さく反応を返した。
「はな。―――あまい・・・くち、びる。」
ツツッと指先がその形を辿った後で、近付いたルーファスの唇がしっとりと重ねられる。
ピクンッと拓の指先が動いたけれど、全身に力が入らない状態ではどうする事もできない。
薄く開いた口から入り込んだ舌が、拓の口内を蹂躙していく。
舌を絡められて、唾液を奪われて・・・恍惚とした表情のルーファスは怖ろしいほど綺麗だった。
「・・・みみ。のど。くび。」
漸く口付けから拓を解放したルーファスが、また指先で拓の身体の部位を辿っていく。
徐々に下降する指先と共に、衣服が奪われる。
ボタンが外されて脱がされる羞恥に、拓は人形のように動かなくなってしまった身体のまま頬や全身を綺麗に染め上げた。
「かた。うで。ゆび、さき。さこつ。・・・むね。―――ここ、も・・・あまい。たく、さま。きれい。」
ほんのりと桜色に染まった肌に触れながら、ルーファスもまた白磁のような肌の色を変化させて柔らかな赤みを頬に差した。
その視線が、胸の飾りのようになっている箇所を捕らえた。
赤い小さな果実のようなそれを、ルーファスはそっと指先で撫でてから、舌でペロリと舐めた。
途端に、動かない筈の拓の身体が小さく跳ねた。
拓の頬を染め上げる赤みが、顔中に広がったのを見て、ルーファスは柔らかな微笑を浮かべた。
「―――へそ。こし。」
いつの間にかズボンも脱がされていて、拓は下着一枚の姿になっていた。
霞む視界と朦朧とする意識の中で、それでも身体に与えられる感覚をしっかりと感じている拓はどんどん身体が熱くなって苦しかった。
時貞が拓に与える愛撫とは全く違うのに・・・今触れているのは時貞の指では無いのに、感じてしまう自分が恥ずかしくて悲しくて・・・。
ぽろっ。
大きく見開かれていた拓の瞳に涙が盛り上がって零れ落ちた。
透明な雫は次から次へと溢れ出てくる。
ずきんっ！
その雫を見た瞬間、ルーファスは無意識に胸を抑えた。
そうして、ルーファスの深翠の瞳からも雫が零れ落ちる。
「たく、さま？」
涙を溢しながら、ルーファスは不思議そうに首を傾げる。
こんな感情は、初めてだった。
こんな―――『痛み』は。
欲しい物は何でも手に入った。
願えば、それだけで良かった。
『快楽』を与えれば、どんな淑女も喜んだ。
ルーファスの持つ『魅了』と『快楽』の虜にならない者等、今まで時貞以外に知らない。
だから、ルーファスにとっては時貞が『絶対君主（マスター）』なのだ。
そのマスターが大切にしている拓は普通の人間だから・・・ルーファスの『魅了』と『快楽』が効く筈なのだ。
自分も拓も気持ち良くなれる・・・そう思っていたのに。
「どうし、て？・・・きもち、、、よく、ない？」
キュッと唇を噛み締めて、ルーファスは問い掛ける。
呪いが解けたとはいえ、完全な過去の自分の姿に戻れた訳ではない。
もしかしたら、自分の『力』は拓に効かなかったのかもしれない。
「ごめ・・・なさい・・・」
パチパチ、とルーファスは瞬きした。
途端に、拓の視界が元に戻って、朦朧とした意識が少し和らいだ。
辛うじて戻った力を込めると、震えが走った後でゆっくりと指先が動いた。
それでも全身の気だるさはどうしようもない。
先程のルーファスの言葉で、どうやら方法はどうであれルーファスなりに拓を気持ちよくさせようとしていたらしい事も理解って、拓は怒るべきかどうか途方に暮れてしまった。
こーゆー事で気持ち良さを追求しようとするのは、流石に時貞に仕えているからなのかどうかは怖くて追求したくない気もするし。
取り敢えず、未遂なのだし、謝ってくれたから・・・もういい事にした。
「あの・・・ルーファス・・・。その、もういいから・・・服返して。」
真っ赤になって拓は、泣きそうな声で小さく呟く。
人形のように色々遊ばれてしまったが、それ以上にこの下着一枚の格好の方が恥ずかしい。
出来る事なら直ぐにでも着たい処なのだが、すっかり力の抜けてしまった身体では自分で起き上がることすらまだ無理そうだった。
「・・・たく、さま。」
気付いたルーファスが慌てて拓のシャツを拾い上げた。
ガシャーーーンッッ！！
凄まじい破壊音と共に、ガラスの砕け散る音が辺りに響き渡る。
粉々に砕け散ったガラスの破片が、陽光を弾いてキラキラと輝く。
スローモーションのように、時が流れる。
キラキラとした輝き以上に輝く黄金の波が揺れる。
一瞬で視線を奪ったその輝きは、目にも留まらぬ素早さで拓が横たわっていたベンチに近付くと、あっという間も無く拓の身体を抱き上げた。
「―――さく、らっ！！」
驚いたルーファスの叫びが唇から零れ落ちた時には、その姿はその場から消えていた。
勿論、横たわっていた拓の姿も無い。
ザァーーーッとルーファスは蒼褪めた。
『―――あの、バカッ！ご主人様（マスター）の“鎖”を引き千切ったのか？！なんて無茶な・・・。拓様が危ないっっ！！』
ルーファスの口から流達な発音の、独特な響きが零れ落ちる。
この国の言葉ではないその言語は、古の魔族の使っていた物。
拾い上げたまま持っていた拓の服を抱え込むと、ルーファスは真剣な顔で踵を返した。
続く ／ 戻る
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