『約束の漢』（クリスマス・プレゼントに続く）

　
　
拓「ひ・・・秀人君・・・どうしたの・・・・・・？」
　
”あの”Ｂ突抗争から何日か経ったある日、秀人は拓の前に現れた。
　
拓「・・・・・・・あ・・・・・・・あの・・・・・・・・・？」
　
怒っているのか、緊張しているのか、思いつめた顔の秀人に拓もどうしてよいのか分からずにいた。
そして、しばらくの沈黙の後、ようやく秀人は重い口を開いた。
　
秀人「・・・・全部終わったら・・・・・・・」
拓「・・・・え？・・・・・」
秀人「全部終わったら・・・”その時”は・・・・・・・」
　
秀人「あんとき、言ったよな・・・・・・」
拓「う・・・・うん・・・・・」
　
拓はよく覚えていた。
Ｂ突抗争の前に、わざわざ会いに来てくれたあの日のことを。
結果として、あの争い自体はうやむやになったものの、
爆音が外道に喧嘩を売ったことには変わりは無く、
しかもその問題はまだ未解決なままなのだ。
　
拓「秀人君・・・・ボク・・・・・ボク・・・・・秀人君や外道のみんなとは
ケンカしたくないよ・・・・・・・」
秀人「・・・・・あ・・・・・・・うん・・・・・・イヤ・・・・・・
そっちのハナシじゃなくてよ・・・・・・その・・・・・・なんだ・・・・・・・」
拓「？」
秀人「ば・・・場所代えねーか？ちっと流そーぜ？」
拓「うん、ちょっと待ってて。今キー取って来るから」
秀人「あー、そんままでいーよ」
拓「え？」
秀人「今日はよ・・・・・オレの後ろ乗れよ・・・・・」
拓「秀人君の？」
秀人「イヤか？」
拓「ううん、イヤだなんて。ボク嬉しいよ？」
秀人「そっか」
　
海沿いの道路を走る２人。
スピードは出ているものの、拓が怖がらないように気を遣って運転してくれているようだ。
拓にも、そんな秀人の気持ちが伝わっていて、なんとなく嬉しい。
　
カーブで秀人にしがみつく腕に力が入る。
拓には秀人の鼓動がダイレクトで響いてくる。
　
拓「（秀人君・・・・・すごいドキドキしてる・・・・・）」
　
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２人は人気の無いパーキングで休憩を取る事にした。
缶ジュースを飲みながら取り留めの無い話をしていたが、ふいに会話が途切れ、
秀人は海を見つめたまま黙り込んでしまう。
　
拓「（秀人君・・・・・どうしたのかな・・・・・？）」
　
空が少し紅くなりかけた頃、秀人が口を開いた。
　
秀人「・・・・・・・・拓ぅ・・・・・・・・・」
拓「何？秀人君？」
秀人「オレ・・・・・・・この間会いに行ったあんときまで・・・・・・・
オマエのこと・・・・・ダチだと思ってた・・・・・・・」
拓「え？」
秀人「・・・・・でもな・・・・・あんとき会って分かっちまったんだよ・・・・・
自分（テメー）の気持ち・・・・・・」
拓「・・・・・・秀人君・・・・・・？」
秀人「・・・・・オレ・・・・・・・オレよ・・・・・・・・」
　
漢気があって、いつも堂々としている秀人が、なぜか異様に口ごもっている。
次に口に出す言葉を、まるでためらっているかのようだ。
　
拓「大丈夫だよ、秀人君・・・・」
秀人「え？」
拓「秀人君がなにを言いたいのか分からないけど・・・・大丈夫だよ・・・・・・ボク・・・・秀人君のコト・・・・信じてるから・・・・・・」
秀人「拓・・・・・・・」
　
拓の言葉に、真っ赤になって言葉に詰まってしまった秀人は、搾り出すように拓の名前を呼ぶのがやっとで、震える手で拓を抱きしめる。
　
拓「・・・・・ひ・・・・・・秀人君・・・・・・・？」
秀人「オレ・・・・・オレ・・・・拓・・・・・・・オマエが・・・・・オマエのことが・・・・・・」
拓「秀人君・・・・・」
　
返事の代わりに拓も秀人を抱きしめる。

秀人（驚きの表情で）「・・・・・・・・拓・・・・・・・・・」
拓「・・・・・・ボクも・・・・・・・」
　
真っ赤になって秀人の胸に顔をうずめる拓。
そんな拓の頬に手をやり、顔を上げさせる秀人。
　
秀人「拓・・・・・オレの気持ちだ・・・・・」
　
やさしく、やさしくキスをする秀人。
　
拓「・・・・・ん・・・・・・んっ・・・・・・・」
　
身体に力が入らなくなり、秀人にもたれかかる拓。
　
秀人「わ・・・・わりィ・・・・・・拓・・・・・・」
拓「・・・・ううん・・・・秀人君・・・・・ボク・・・嬉しいよ・・・・・」
秀人「拓・・・・・・・・」
　
今度は拓が目をつぶり、顔を差し出している。
ゴクリと生唾を飲み込み、こわれものを扱うようにそっと拓に唇を重ねる秀人。
　
秀人「・・・・・・拓ぅ・・・・・・」
拓「秀人君・・・・・ボク・・・・・・秀人君だけ・・・・・・・」
秀人「オレも・・・・・オマエだけだ・・・・・・」
　
寄り添ったまま海を眺めている２人。
日は沈み、肌寒くなっていたが、２人には暖かな心地よさしか感じない。
　
拓「・・・・・・ボク・・・・・・・・」
秀人「ん？」
拓「ボク・・・・・・・今日は帰りたくない・・・・・・・」
　
ギュッと秀人の服を握り締める拓。
　
秀人「オレも・・・・帰したくねぇ・・・・・」
　
ガッチリと拓を抱きしめる秀人。
　
拓「秀人君・・・・・・・うわっ！？」
　
突然お姫様抱っこで拓を抱きかかえる秀人。
　
秀人「・・・・・・・決めた・・・・・・」
拓「え？」
秀人「今日はオマエを帰さねぇ・・・・・・」
拓「秀人君・・・・・」
　
真っ赤になって秀人を見つめる拓。
　
秀人「このままオレん家（ち）へ行くぜ？」
拓「・・・・・・うん・・・・・・・・」
秀人「今日は誰もいねーしよぅ」
　
秀人の言葉に、自分がこれから何をされるのか察してしまった拓。
顔が真っ赤になる。
　
拓「あ・・・・・あの・・・・・秀人君・・・・・」
秀人「なンだよ？」
拓「あの・・・・・その・・・・・・ボク・・・・・・・その・・・・・・・」
秀人「？」
拓「・・・・・・・は・・・・・・は・・じめて・・・・・・・・だから・・・・・・・・」
　
真っ赤な顔のまま、消え入りそうな声の拓。
秀人は優しく拓を抱きしめ、
　
秀人「心配すんな・・・・・・大事に・・・・・・・優しくすっからよう・・・・・」
拓「・・・・・・・うん・・・・・・信じてるよ・・・・・・・秀人君・・・・・・」
秀人「・・・・・・じゃ・・・・・・行くぜ？」
拓「うん」
　
ぎゅっと秀人に掴まる拓。
秀人の鼓動はさっきよりも高まっている。
　
拓「秀人君・・・ドキドキしてる・・・」
秀人「拓・・・・」
拓「ボクもだよ・・・・・ねぇ、わかる？秀人君？」
　
身体を密着させる拓。
バクハツしそうな秀人。
　
秀人「・・・・・ああ・・・・・感じる・・・・・オマエの鼓動・・・・・・」
拓「秀人君・・・・」
秀人「さ、行くぜ？」
　
バイクを走らせる秀人。
２人の走る路はまさにヴァージンロードのようである。
　
　
おしまい。（続きのクリスマス話は、きのこの部屋に載せてあります）

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（コメント/・・・・・・一生懸命頑張りましたが、こんなのしか出来ませんでした・・・・ヘタレな出来ですみません・・・・・・うう・・・・・・・）

（ドリーマーのコメント：うふふｖｖｖ読んでてデレデレしちゃいました。やっぱ、本命カップリングの秀×拓は良いですね〜♪秋生×拓が本命のアキオさんに極悪なリクエストしちゃった気もしますが・・・反省なんかしませんとも！！だって、こんなに素敵なＳＳ書けるんですもの（ラヴラヴ）両思いだから、甘々一直線だし。これぞ正しく、『二人だけの世界』っていうやつですね！！因みに、拓ちゃんの台詞で「初めてだから云々」は、「初めてじゃなかったら秀人立ち直れないよ！！」―――と、一人ツッコミしちゃいました（苦笑）このＳＳは修羅場の心の支えでした。本当にありがとうございました（＞▽＜））