|
（このＳＳはアキオ×拓様に捧げます。ドリーマーのリクエストに快くお応えして下さって、素敵なＳＳを書いて下さったお礼ですｖｖｖクリスマスに、天羽×拓以外のＳＳを書くのは初めてなんで、別の意味でドキドキしてますが・・・（Ｔ▽Ｔ）マー坊の邪魔が入らずに、如何に無理無く秋生×拓にするかで非常に悩みました。奇跡の夜―――つう事で、『ナンデモアリ』で済ませちゃうのも問題な気がしますが・・・ネ（反省）夢落ちで逃げなかっただけ褒めてやって下さい。）
聖夜。
ちらほらと、空から白い花が降って来る・・・。
「―――あれ・・・？」
「どうした・・・。あぁ、降って来ちまったか。」
カチャッとドアを開けて外へ出た途端に上がった驚きの声。
つられて視線を移せば・・・暗闇の中、空から何かが落ちてくるのが見えた。
吐く息が白く広がり・・・寒さが一入身に染みた。
「ホワイト・クリスマスだね。」
笑って告げるその言葉に、苦笑する。
「遅くまで引き止めちまって悪かったな。」
「ううん。皆、凄かったもんね・・・」
言って、上着を羽織る。
部屋の中には死屍累々と、残骸がゴロゴロしている。
真嶋商会で行われた『クリスマス会』という名の飲み会は、それはそれは凄まじいものだったのだ。
当たり前といえば当たり前なのだが・・・最初から酒盛りだった為、途中からは何が何だか理解らない状態に陥り・・・。
―――最後まで無事だったのは、飲まなかった拓と、飲みなれていた秋生だけだった。
まぁ・・・被害が無かったとは言わないが・・・。
「マー坊くん・・・随分酔ってたけど・・・大丈夫かな？」
「―――あぁ。明日にはケロッとしてるから大丈夫だろ？それより、お前の方こそ・・・」
「え？！ボ・・・ボク・・・？飲んでないよ―――多分。」
顔が赤いのは、寒い場所だからだと、言い訳する。
裏の駐車場まで、シンとした世界が広がって、ただ互いの吐く息だけが白い。
それと、空から静かに舞い散る粉雪。
―――世界に、二人っきりしかいないような・・・『感覚』。
それは、ほんの数分の出来事だったけれど。
「じゃあ・・・」
拓が単車に跨る。
声を掛けるが、秋生は真面目な顔をしたまま黙っている。
「―――秋生・・・くん？」
不思議そうに、拓は秋生に再度問い掛けた。
「あ・・・あのな・・・拓・・・」
何か言いた気な秋生の様子に、耳を傾けて拓は静かに待つ。
「あ―――いや、やっぱ・・・何でもねー。」
だが、すぐに視線を逸らすと、眉根を寄せてそう呟いた。
「・・・気ィ付けて帰れよ。」
そう言われて、拓も苦笑する。
「うん。また・・・ね。」
名残惜しそうな顔で、キックを蹴ろうとした途端、足が雪で滑ってしまった。
「うわっ！！」
「―――おいっ！！」
がしゃんっっ！！
バランスを崩した拓が、単車ごとコケるのを、秋生が寸での所で救出する。
―――時が止まる。
・・・ドキドキした鼓動がヤケに耳障りなのは、驚いた所為だけじゃなく・・・。
「・・・あ・・・。」
「―――ッ！！」
腕の中、すっぽりと収まってしまう身体を、知らず抱き締めて―――。
掠った―――唇。
重なった、吐息。
「・・・す・・・スマンっ！！」
慌てた秋生が反射的に、謝る。
拓は、呆然と自分の唇に手を置いて大きな瞳を更に零れ落ちそうなぐらい見開いている。
「いや・・・だからその・・・」
しどろもどろ、言葉を捜そうとした秋生が、とうとう白旗を揚げた。
ハーーーッッと、深い溜め息を吐いた。
そうして、真面目な顔で拓に向き直った。
「・・・オレ、お前が好きだ。」
顔を真っ赤にして、爆弾発言を告白する。
「―――は？！」
余りの事に一瞬言われた事を理解い出来なかった拓は、間抜な反応を返した。
だが・・・。
徐々に顔が赤くなって・・・見る見る内に涙が盛り上がる。
これには秋生の方が驚いた。
「う・・・な・・・泣くなよ！！ンなに、キモい―――よなぁ。オレも焼きが回ったとしか言えねぇが・・・」
ブツブツ言いながら、どうすれば良いのか途方に暮れる。
そんな秋生に、拓はフルフルと首を横に振る。
「―――う・・・嬉しい・・・」
小さな、掠れた声は、確かに秋生の耳に届いた。
「ぼ・・・ボクも・・・ずっと・・・。でも、秋生くんはマー坊クンがっ・・・て思ってた・・・から・・・」
しゃくりながら言う拓の言葉に、秋生は目を丸くする。
「マー坊？！・・・いや、確かに大事な幼馴染みだけど・・・あぁ？！んな風に思われてたんかよ？！」
がっくりと肩を落として、天を仰ぎ見る。
手で顔を覆って、大袈裟に言うと、拓は小さく微笑った。
その笑顔に―――誘われる。
「―――拓・・・。」
甘やかに呼ぶと、綺麗に透き通った瞳が、秋生を映した。
惹き付けられながら、唇を重ねる。
ひんやりとした柔らかな感触。
熱を分け合うように・・・深く・・・優しく。
降り積もる雪に負けない熱を感じながら、抱き合う姿が闇に溶け込んでいく。
メリークリスマス。
メリークリスマス。
皆が幸せになれますように。
皆に幸せが訪れますように・・・。
じゅもん
―――それは、奇跡を起こす優しい『言葉』。
終わり。 ／ 戻る |