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（このＳＳはアキオ×拓さんとのチャット中に考えついたネタを元にしてありますが、いつもスケブで素晴らしいザキ×拓話を堪能させて下さる緋川ユウキ様に捧げさせて頂きますｖｖｖバリ島のお話読んでからずっと、ドリーマーの頭の中は腐れザキ拓萌え状態だったのですが、これで漸く落ち着けました（笑）アキオさんには改めて秋生×拓（多分ほのぼの・・・＾＾；）バレンタインＳＳを捧げますので、もうちょっとお待ち下さいねｍ（_ _）ｍ因みにこのＳＳギャグなのはタイトルと最初の部分だけで、微妙にキスシーンが一杯入っていますのでそーゆーのが嫌いな御方はお気を付け下さい。）
ラブラブポッキー大作戦。
「たっくちゃーーーんっっ！！」
満面に笑みを浮かべた真里が、駆け寄ってくる。
その手に持っているのは、何故かポッキーである。
「何？マー坊くん？」
酔っ払いには何を言っても無駄だという自覚がある拓は、なるべく刺激を与えないようにそっと尋ね返した。
「ねえねえ、ポッキー勝負しよ！？」
「は？」
チャシャ猫のように笑う真里の言葉に、拓は驚きの表情を見せる。
瞬間、秋生が飲んでいた液体を噴出した。
更に周りで固唾を飲んで見守っていた爆音の連中も、驚愕して固まった。
「んーーーとねぇ、これ口に咥えて。」
そう言うと、真里は拓に持っていたポッキーを咥えさせた。
訳が分からず、拓は言われるままにポッキーを唇で押えている。
途端に顔を真っ赤にした真里が、ニコニコと笑いながら反対側を咥える。
「これで、どっちが多く食べるか競争だよぉーーーっっ！！」
ポリポリと食べ始める真里に、つられて拓も思わずポッキーを食べ始める。
物凄い真里の勢いに恐る恐る食べていた拓は、どんどんと真里の顔が近付くに連れて、恐い考えに陥ってしまった。
＜えーーと・・・これって・・・ひょっとして・・・＞
もう少しで真里の唇が触れるかと言うトコで、拓の身体はひょいと持ち上げられた。
ポキンっと小気味良い音を立てて、ポッキーが真ん中で折れた。
「アァーーーッッ！！」
楽しんでいた所を邪魔された真里が、頬を膨らませて抗議しようとしたが、相手が悪かった。
「悪乗りし過ぎだぞ。少し酔い冷ませ。」
そう言うと、爆音のアニキ事、真嶋夏生は真里を嗜める。
「夏生さんっ！！」
喰ってかかろうとする真里も、更にその後ろに控える晶の怒ったような顔にシューンと項垂れた。
「―――ちぇ・・・。」
小さく呟くとスゴスゴと戻って行き、他のポッキーをやけ食いし始めた。
「・・・平気か？」
ポッキーを咥えたまま固まっていた拓は、夏生の言葉に漸く自分の身に何が起こったのかを理解し、ホッと胸を撫で下ろした。
「マサトは酒癖悪いからなぁ・・・誠ン時もああやってキスしようとしてたし。ま、誠の奴はもっと上手く立ち回ってたけどな。オマエ・・・無防備過ぎないか？それとも、マサト相手なら許すつもりだったのか？」
苦笑しながら告げる夏生に、拓はブンブンと首を横に振った。
先程の行為にそーゆう意味が含まれているとは、露にも思っていなかったのでつい流されてしまっただけなのだ。
夏生が救出してくれなかったら、間違いなくキスしていただろうと気付いて拓は深々と夏生に感謝した。
「あの・・・ありがとうございました。」
「―――おう。こいつ等ぁ、飲むと見境無いからな。巻き込まれないように気ぃつけろよ。」
優しくそう告げると、夏生は煙草を吹かしながら仕事場へと戻っていった。
ふぅと一息付くと、拓は困ったように口の中に残っていたポッキーを飲み込んだ。
真里は嫌いじゃない。
だが、キスしたいとは思えない。
―――拓にはもう相手がいるから。
誰にも言えない秘密だけれど・・・。
そっと触れた唇に蘇る感触。
薄くて、少し冷たくて・・・包み込まれるような煙草の香り。
その相手が、拓にとって一番の人だから―――。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ポッキーの箱を見ながら何か思いに耽っているようなその姿に、緋咲は眉を顰めた。
甘い物嫌いの緋咲の部屋にチョコが置いてあるのは、押し付けられたからだ。
ロクサーヌのメンバーに貰った物を、捨てるほど緋咲は人でなしではない。
勿論、メンバー以外の奴からの物など、たった一人を除いてはゴミ箱行き決定だが。
「・・・どうした。」
中々戻ってこない相手に、業を煮やして問い掛ける。
途端に弾かれたように振り返った顔が真っ赤だったので、緋咲は更に渋面を作った。
「ナニ思い出して赤くなってやがんだぁ？」
ムカムカとした感情が収まらなくて、つい語気が荒くなる。
自分との思い出の中で、ポッキーを見て赤くなるような記憶はないからだ。
つまりは他の奴の事を考えているという訳で・・・。
「あの・・・」
更に赤くなっていく顔に、緋咲の苛立ちは最高点に達する。
グイッと引き寄せて、ソファーに押し倒すと、半ば無理矢理に口付ける。
『オレと一緒にいる時は、オレの事だけを考えろ。』
言葉にならない想いを込めて、キスをする。
深く・・・意識の全てを奪い取るような・・・熱い口付けを。
満足してから唇を離すと、ゆで蛸のようになった顔の中で、潤んだ漆黒の瞳が真っ直ぐに自分に向けられている事に、安堵する。
自分も随分甘くなったモノだと苦く思いながらも、束縛から解放する。
黙ったまま煙草に火を付けた緋咲に、漸く身体を起こした拓は困ったように口元を手で隠していた。
「―――喰うか？」
差し出したのは先程ずっと見ていたポッキーで・・・。
拓は今度こそ困ったように首を横に振った。
「だって・・・貰った物なんでしょう？」
小さく言う口調に、緋咲は視線を泳がせる。
「あぁ？オレは喰わねぇよ。甘いモンは嫌いだ。相賀の奴が持ってきたから、お前が喰うんじゃねぇかと思って・・・。」
ボソボソと告げる緋咲に、拓は目を丸くする。
それから、本の少しだけ瞳を翳らせた。
そっぽを向いていた緋咲は気付かなかったが・・・。
「そっか・・・甘い物・・・駄目なんだ・・・。」
ちょっとだけ残念そうに告げる拓に、不思議そうに緋咲は視線を向けたが、既に拓の翳りは消えていた。
「喰うのか？喰わねえのか？」
「頂きます。」
再度問い掛けられて、拓はそっと手を差し出した。
自分が食べなければ、他の人に渡るのは間違いなく。
緋咲からの物を他人に渡すのは何だか嫌だったので・・・。
手の中に入ったのはやっぱりポッキーの箱だった。
緋咲は既に興味を失ったかのように、リモコンでテレビを付けた。
何だか、いつもと違って場に雰囲気が暗いような気がしたのだ。
普段なら絶対に付けないテレビに救いを求めてしまうほどに。
画面からは、下らないバラエティー番組が流れていた。
夜も遅いので、やっている番組も似たような物ばかりだ。
ニュースを見たり、ドラマを見ても意味が理解らないので、それをただＢＧＭのように流していた。
お互いに会話がないので、緋咲は煙草を吹かし・・・拓はポッキーを食べる。
ポリポリという音が、テレビから響く笑い声と重なる。
「それ、美味いのか？」
気になった緋咲が、煙草を灰皿に押し付けて聞いてくる。
その視線は、拓が咥えていたポッキーに注がれている。
「ん・・・うん。」
結構お菓子が好きな拓は、素直に頷いた。
ポッキーを咥えていたので、頷いただけだったが・・・。
「ふーーーん・・・。」
ジッと見つめてくる緋咲に、拓は思わずドキドキしてしまう。
「何か、お前が食ってんの見てると、美味そうだな。」
ボソリと言われて、拓の心臓が跳ね上がった。
真顔で言われる程、恥ずかしい事も無い。
＜それは、子供みたいに美味しそうに食べているからって事？！＞
真っ赤になったまま、それでも試しにと勧めてみた。
「・・・食べる？」
そっと箱を差し出すと、緋咲は黙ったままだ。
箱の中と拓の口元を交互に見比べている。
「お前が喰ってる方が美味そうだ。」
そう言うと、あろう事か拓が食べていたポッキーの反対側から食べ出した。
思わず拓は、ギュッと身体を固くした
固まっている拓にお構いなしに、ポッキーを短くしていった緋咲は、そのまま拓の唇も奪い取った。
煙草の匂いが鼻につく。
押し付けられた唇が、更に動いて舌が拓の口中のポッキーまで攫っていきそうな程だ。
逃げる舌を追いかけて絡みついた舌が、ざらりとした感触を与えた。
チョコが甘いのか・・・キスが甘いのか・・・。
―――息も出来ないほどの口付け。
触れる個所が熱くて、火傷しそうだ。
息苦しくて許しを請うように押し戻そうとした拓の腕は、いつしか縋るように緋咲の首に絡まった。
テレビ画面からは相変わらず意味の無い言葉が溢れ出ていたが・・・既に二人の意識は互いしか感じていなかった。
拓の指先から、握り締めていたポッキーの箱が零れ落ちて、中身が散らばった。
チョコよりも、もっと甘い空間が、二人の時間を攫っていった―――。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
夜中にふと目覚めた拓は、自分がベットに寝かされている事に驚いた。
そうして、当然のように自分を包み込んで寝ている緋咲の姿に、胸が苦しくなった。
どうしてこんなに好きになってしまったんだろう？
最初に出会った時は、お互いに天敵のように死闘を繰り広げた相手なのに・・・。
憧れている秀人の敵で・・・爆音の皆とも仲が悪くて。
拓の周りの誰とも仲が良くないのに―――。
唯一仲が良かったのだと、知ったのは一人だけいたけれど・・・。
視線を移すと薄暗闇の中で目が慣れて来たのか、うっすらと部屋の中が見れた。
そうしてベット脇に置いてあった自分の服に、拓は思わず目を見開いた。
そっと緋咲を起こさないように腕を伸ばして、服のポケットに触る。
その中に入っている物を確認する為に。
だが、幾ら触っても形のある物の感触がないので、慌てて手を入れて探ってみたが、結果は同じだった。
＜落とした？！＞
驚いて身動ぎすると、視界に何かが引っ掛かった。
動いた拍子に、サイドテーブルの上で・・・リボンの端が揺れたのだ。
＜あ・・・・＞
思わず声を漏らしそうになって、慌てて口を塞ぐ。
それはチョコレートだ。
バレンタインで、緋咲に上げる為に拓が選んだ物。
女の子じゃないから、バレンタインなんて可笑しいとは思ったのだが・・・『想いを伝える日』という口実に託けて、自分の気持ちも伝えたくて。
普段中々口に出来ないから、せめて愛を伝える手段として贈りたかったのだ。
まさか、緋咲が甘い物が苦手だったとは思ってもみなくて・・・。
―――渡せる筈もない贈り物だったのに。
不意に、涙が零れた。
どうしようもなく、好きなのだ―――と、思った。
二人で過ごす時間が長くなれば成る程、好きな気持ちが大きくなって切なさに変わってしまう。
それでも、愛してると告げられる程の勇気が持てなくて。
自分の気持ちに自身が持てないのも事実なのだが・・・。
「―――好き・・・」
小さく口にする。
想いは溢れていく一方だ。
「・・・どうしたら良いの？」
泣きながら、拓は途方に暮れた。
こんな想いを、感情を拓は今まで知らなかった。
苦しくて苦しくて、息もできない。
口付けられる度に、いつか死んでしまうのではないかと思うぐらい、胸が苦しくなるのだ。
拓が静かに泣いていると、突然腕が伸びてきて、拓の身体をベットに引き戻した。
「ナニ、一人で泣いてやがる・・・」
機嫌の悪そうな声に、拓は慌てて涙を拭いた。
それでも、溢れてくる涙を止める事ができなくて・・・思わず顔を背けた。
そんな拓を、緋咲は背後から包み込むように抱き締めた。
「泣くんじゃねぇ・・・。」
肩口に顔を寄せて、耳元に囁くように告げられる。
拓はビクッと肩を竦める。
「―――こっち、向け。」
言われて、オズオズと身体の向きを変える。
自分で変えなければ力づくでやられるのが理解っているからだ。
ジッと濡れた眼で見つめると、緋咲は拓が思ってもいなかった顔をした。
―――微笑ったのだ。
余りの驚きに、涙も止まる。
「ただでさえデケー眼なんだから・・・」
「・・・あ・・・」
思わずギュッと噛み締めてしまった唇に、軽くキスされた。
「・・・ナニも考えられなくなるまで、体力使うか？明日起き上がれなくなっても構わねーってんなら、ヤるが。」
ニヤっと不敵に笑う緋咲に、拓は言葉の意味に気付いて頬を綺麗に染め上げた。
暗がりの所為で見れないだろうが、焼けるように熱くなったので拓は自分が紅くなっていることを理解した。
―――途端に羞恥で一杯になる。
「あんま、くだンねェ事は考えンな。理解ったな。」
真顔で言う緋咲に、拓は小さく頷いた。
どんなに苦しくても、好きになってしまったのだから・・・仕方ないのだ―――と。
「―――あと・・・、アレ喰っちまったから。」
不意に言われて、拓は一瞬何の事か理解らなかった。
「・・・？」
「まさか、他の奴にやるつもりだったなんて・・・言わねェよな！」
不機嫌そうな語尾に、漸く何を言っているのか理解する。
「あ・・・チョコ・・・？でも・・・嫌いだって・・・だから・・・」
困ったように告げる拓に、緋咲は口元を歪ませた。
「―――オマエがくれるモンなら何だって喰ってやるよ。」
ボソリと告げられたその言葉に、拓は胸が熱くなった。
鼻がツンとして・・・瞳から溢れ出たのは―――『想い』だ。
「おい・・・」
また泣いている拓に、緋咲が呆れた声を出す。
「・・・嬉しい・・・。」
だが、素直に気持ちを口にした拓に、困ったように髪を掻き揚げる動作をした。
「・・・泣くな。お前の涙は、オレを妙な気分にするんだ。」
そう言うと、緋咲は拓の涙を唇で拭っていく。
「―――止まらなくなっても―――イイのかよ・・・？」
問い掛けるように誘う緋咲の唇に、拓は満たされていた。
あんなに苦しかった胸が、甘い痛みに変わっていた。
だから、返事の代わりに、拓は緋咲に抱きついた。
・・・どうなっても良いのだ。
好きにしてもらっても構わない。
言葉で言う程、緋咲の指先はいつも酷くない。
求められれば求められる程、歓びを感じてしまう自分はきっとおかしいのだと思うけれど―――それを止める手段はもう何処にも無いから・・・。
言葉以上に―――身体と心は正直だった―――。
―――翌日、拓がベットから起き上がれなかったのは言うまでも無い。
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