相変わらずな僕等
　　
　　
　いつものように、アッちゃん家の溜まり場で、皆それぞれが自分の“単車”セッティングをしている。
　「そろそろ、プクイチしよかー？♪」
　マー坊の一言で、道具を持っていた手が止まる。
　「あっ・・・じゃあ、ボク買ってくるよ。」
　にっこりと笑って、誰よりも先にパシリの役を買って出るのは・・・いつもの如く拓の奴だ。
　先日のあのドデカイ“戦争”を、たった一言で収めちまった癖に、その風貌は全く始めて会った時と変わらない。
　―――不思議な・・・“存在”。
　「・・・拓。」
　「なぁに？！カズくん・・・？」
　出て行こうとする拓の背中に呼びかけると、キョトンとした瞳が見返してきた。
　途端に、ドキンとしてしまう鼓動。
　だけど、それをマー坊や他の連中には知られたくなくて・・・。
　「オレも行く。丁度“ヤニ”も切れたから。」
　そう告げて、腰を上げると・・・拓はフンワリと微笑した。
　「うん・・・ありがとう・・・。」
　それが何に対しての礼なのか、理解らなかったが・・・何となくホッとする。
　知らない間に、こいつがどんどん、遙か彼方に行っちまうような感覚が治まって。
　「なぁ・・・拓・・・」
　皆の分の飲み物を買っている拓の背中にソッと問いかける。
　「―――お前は・・・変わるなよナ・・・」
　「―――何？何か言った？カズくん・・・・？！」
　「否・・・なんでもねーよっ！」
　呟きを捕らえて、振り返った拓の鼻先を指で弾く。
　「・・・痛いなぁ・・・もぉ・・・・」
　変わらない表情に、納得した。
　きっと、何が起こっても・・・オレ等の関係が変わる事はないだろうと・・・。
　
　
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